製作者:生徒と先生と協力者
場所:長野県上水内郡小川村
材種:県産材/マシンカット 角ログ
広さ: 3.6×3.6m 壁高: 1.92m 全高: 2.92m
発案:平成15年3月
着工:10月9日
完成:12月25日
※担任の山田敏彦先生のお話をまとめてみました。
「昨年の三月、当時中学2年生だった特殊学級の生徒とひなたぼっこをしている時、『秘密基地があればいいなぁ』 『ログハウスがあればいいなぁ』 『秘密基地の中でいろんなことをしてみたいなぁ』といったつぶやきが出ました。 三年生になってのクラスの話し合いで、同じ生徒から『秘密基地を作って、中でゲームをしたり、焼き肉をしたりしたい』という意見がありました。 このことがきっかけとなり、生活単元学習『僕たちの秘密基地を作ろう』がスタートしました。」 |
「資金の入手方法を生徒と話し合い、『9月の学校祭で自分達の作った製品を販売しよう』と決まり、生徒の得意な活動を中心に据えて、木工製品を作り始めました。 知り合いの材木屋さんから廃材を頂き、男子生徒4人と技術家庭科の副担任も加わり、1時間の授業でほぼ一作品を製作しました。完成したのが木製テーブル10台、木製ベンチ20台、木製踏み台20台です。 学校祭で地域の方々や保護者に販売し、ようやく資金の準備が出来ました。 売り上げ7万円に学校予算の3万円、計10万円のぎりぎりの資金ですが、智恵を出し合いながら『どうやったら楽しくなるかな』を考えることを基本にしました。 村の森林組合で購入したのは2×4材多数と角材18本、近くのホームセンターでコンパネ数枚と基礎用のインターロッキングに砂。 置き場所に困るので、材木は少しずつ購入して、防腐剤を塗ったり、加工しました。」 | |
10月9日、グランドの隅に場所を決め、草取りを開始。
10月23日、教頭先生の祝詞とお祓いで、建築の安全祈願を込めて地鎮祭が執り行われました。 11月17日、基礎造り。砂を平らに敷いて、一つずつインターロッキングを並べていきます。 |
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水平器を使いながら12×12cmの角材が四隅に置かれ、立派な土台となっています。 「偶然ですがインターロッキングが足りなくて、中央部分に砂地が出ています。そこでバーベキューを行うと、バーベキューセットを置くのに丁度良い広さになっています。」 |
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12月5日柱の組み立てが始まりました。 生徒達の加工した2×4材を、一つ一つ丁寧に組み合わせながら、四隅に柱を建てていきます。 「当初は『できっこないよ』というのが、大方の保護者や先生方のご意見でしたし、私自身も『本当にできるかなあ』と不安だらけでした。 |
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防腐剤が塗られて塗装したような茶色になっています。「防腐剤を塗ったところと塗らなかったところがあるのですが、塗らなかったところが雪や雨水を吸ってしまい、柱の2×4材が少し斜めになってしまいました。でも予想以上に安定した頑丈な柱になっています。」 | |
12月11日18日22日、いよいよ柱の上に桁や梁が取り付けられ、屋根を支える小屋組みが施工されていきます。
「信州大学教育学部附属養護学校高等部で建築されたバーベキューハウスを参考にし、当時のチーフだった職員にもいろいろと教わりました。」 |
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12月23日24日、屋根を支える垂木が両側に取り付けられ、その上に防腐剤を塗った10㎜厚のコンパネが、生徒の手によって張られていきます。 「雪や雨で屋根のコンパネが反ってしまい、釘が抜けてしまったところがありますが、木ねじを打ち直して再固定しました。 コンパネの上に張るアスファルトシングルは、予算と日数の関係で、次年度に持ち越しになっています。 」 3月の小さな夢のつぼみがついに花開き、12月25日見事に完成!!! |
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「少しずつ形になって、出来上がっていく様子が見えるようになってくるのが、とてもうれしかったですね。生徒同士、生徒と先生と協力してくれた皆さん、みんなが喜びを共有できたことが良かったと思います。 完成した時は、みんなで万歳をしました。 完成後、クラスで完成祝いをかねて『バーベキュー大会』をしました。1月でしたので、雪の中で寒かったですが、とても楽しむことができました。」 |
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「生徒からは、何かやろうとする時に『秘密基地でやろうよ』『先生、秘密基地の屋根が雪で重たそうだよ』と言った声が聞かれ、生徒達の意識の中にしっかりと位置付いているように思います。
アルプスを眺める、桜を眺める、青い空を眺めるなど、とても気持ちのいい場所に建っています。柱と屋根だけの秘密基地ですが、とても快適です。隣に公衆トイレ・水道・電源コンセントがあり、何かと便利です。風通しがいいので、夏は涼しくて居心地がよく、寒い冬はブルーシートが風除けになります。 特殊学級の活動の拠点ができました。これからは、どうやったら快適な秘密基地になるかを、生徒と一緒に考えていこうと思います。また、地域の方々との交流の場所(お年寄りの招待、授業参観など)として、校内の交流の場所(デイキャンブなど)として、様々な活動が計画できそうです。」 |